葉緑体呼吸[chlororespiration]

  1982年にBennounにより初めて提唱された概念で,緑藻において,ミトコンドリア呼吸鎖下流の阻害剤の添加により光合成電子伝達鎖のプラストキノンプールが還元されることから,葉緑体に光合成電子伝達鎖とプラストキノンを共有する呼吸電子伝達鎖が存在すると推定された.陸上植物葉緑体では,ストロマの還元当量によりプラストキノンを還元する酵素としてNAD(P)Hデヒドロゲナーゼ(NDH複合体)およびフェレドキシン-キノンレダクターゼ(FQR)が想定され,一方プラストキノンプールの酸化酵素として葉緑体terminal oxidase (PTOX)が想定されている. NDH複合体については,構成サブユニットの遺伝子が葉緑体ゲノムのみならず,核ゲノムからも多数発見されつつある.FQRについては,その活性の実体としてPGR5/PGRL1複合体が同定された.PTOXはミトコンドリアのAOXと相同性の高い酵素が陸上植物や真核藻類の葉緑体に存在している.三者とも電子伝達速度の定量的解析がこれまでなされていないため,生理学的にどれはどの寄与があるか不明であるが,シアノバクテリアではNDHは暗所での呼吸活性を担っている.また真核藻類の多くは葉緑体NDH複合体をもたない.なお, NDHとFQRは光照射下では光化学系Ⅰの循環的電子伝達の構成要素として重要である.

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Last-modified: 2015-03-23 (月) 16:37:04 (1795d)

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