LHCSRは,緑藻で発見された光保護タンパク質で,光合成色素が吸収する過剰な光エネルギーを熱として散逸する非光化学的消光(non-photochemical qunching; NPQ)に関わる.LHCSRはLHCファミリーに属し,3本の膜貫通ヘリックスをもつ膜タンパク質で,クロロフィルやカロテノイドを結合する.緑色植物では多くの緑藻類,およびコケ植物以下のストレプト植物に見つかっており,また,珪藻などの紅藻由来の二次共生藻のもつLHCXはLHCSRのパラログであるとされる.このタンパク質の発現誘導と活性化は,特に水中環境において光強度が急激に変動する場合,光合成生物の生存に不可欠なメカニズムであり,過剰光ストレスへの迅速な馴化を可能にすると考えられている.LHCSRの機能に関しては,特定のカロテノイドとの相互作用やチラコイドルーメンの酸性化による活性化メカニズムなど,現在も活発な研究が進められている.