#freeze
*シトクロム'''b'''&subsc(6);'''f'''複合体[cytochrome '''b'''&subsc(6);'''f'''complex] [#j14b2229]
[[酸素発生型光合成]]の電子伝達反応に関与する3つのタンパク質複合体の1つで,[[光化学系Ⅱ]]と[[光化学系Ⅰ]]との間の電子伝達反応を担う.光化学系Ⅱで二電子還元された[[プラストキノン]](プラストキノール)はシトクロム'''b'''&subsc(6);'''f'''複合体のチラコイド膜内腔(ルーメン)側に存在するQ&subsc(P);部位(Q&subsc(o);部位とも呼ばれる)に結合し,[[リスケ鉄硫黄クラスター]]と[[シトクロム'''b'''&subsc(6);>シトクロムb6]]がもつ低酸化還元電位型のヘム'''b'''&subsc(L);へ1個ずつ電子を渡す.このとき,チラコイド膜内腔にプロトンを放出し,チラコイド膜を介したH&supsc(+);濃度勾配の形成に寄与する.電子はリスケ鉄硫黄クラスターからC型の[[シトクロム]]であるシトクロム'''f'''を介して[[プラストシアニン]](または一部の藻類ではシトクロム'''c'''&subsc(6);)に渡される.低酸化還元電位型のヘム'''b'''&subsc(L);から,シトクロム'''b'''&subsc(6);がもつもう一つのヘム鉄である高酸化還元電位型の'''b'''&subsc(H);に伝達された電子は,チラコイド膜のストロマ側にあるQ&subsc(n);部位(Q&subsc(i);部位とも呼ばれる)で再びプラストキノンの還元に利用される([[Qサイクルモデル]]).リスケタンパク質からシトクロム'''f'''ヘの経路は高電位経路,シトクロム'''b'''&subsc(6);内部でのへム'''b'''&subsc(L);から'''b'''&subsc(H);への経路は低電位経路ともいう.&br; シトクロム'''b'''&subsc(6);'''f'''複合体は,8種のタンパク質([[リスケ鉄硫黄クラスター]]タンパク質(PetC),[[シトクロム'''f'''>シトクロムf]] (PetA),[[シトクロム'''b'''&subsc(6);>シトクロムb6]] (PetB),サブユニットⅣ(PetD),PetM,PetG,PetN,PetL)から成る.さらに,高等植物では[[フェレドキシン-NADP&supsc(+);オキシドレダクターゼ>フェレドキシン-NADP+オキシドレダクターゼ]](FNR)が結合しているという報告もある.低分子量の4つのタンパク質サブユニット(PetM,PetG,PetN,PetL)の役割は不明であるが,PetN欠損突然変異体ではシトクロム'''b'''&subsc(6);'''f'''複合体が欠失する.シトクロム'''b'''&subsc(6);'''f'''複合体には1分子ずつの[[クロロフィル'''a'''>クロロフィルa]]と[['''β'''-カロテン>β-カロテン]]が結合している.X線結晶構造解析の結果から,サブユニットⅣにクロロフィル'''a'''が,PetLとPetMの間に'''β'''-カロテンが結合しているとわかっているが,その役割は不明である.電子伝達系の酸化還元レベルの変化に伴う光化学系Ⅱの[[集光性クロロフィル'''a'''/'''b'''タンパク質複合体>集光性クロロフィルa/bタンパク質複合体]](LHCII)のリン酸化レベルの変化など,光による光合成系の調節機構においてもシトクロム'''b'''&subsc(6);'''f'''複合体は重要な役割を果たしていると考えられている.結晶構造解析の結果から,二量体として存在・機能していることがわかっている.
** 関連項目 [#if72ced0]
-[[シトクロムbc1複合体]]
**リンク [#sd7fb001]
-シトクロム'''b'''&subsc(6);'''f'''複合体の結晶構造('''Nostoc''' sp.)2.5Å分解能 http://pdbj.org/mine/summary/4ogq
-シトクロム'''b'''&subsc(6);'''f'''複合体の結晶構造('''Chlamydomonas reinhardtii''')3.1Å分解能
http://pdbj.org/mine/summary/1q90