#freeze
*光化学系Ⅰアンテナ色素タンパク質複合体[PSI antenna pigment-protein complex] [#p3b747cc]
  LHCI(Light-hervesting complex I)と略称される.[[光化学系]]Ⅰ複合体の周辺部に存在し,[[クロロフィル]],[[カロテノイド]],脂質を結合したタンパク質である.陸上植物,藻類に存在し,[[シアノバクテリア]]には存在しない.陸上植物のLHCIは'''Lhca'''1から'''Lhca'''4まで,21~24 kDa の大きさをもつ4種類のサブユニットから成る.各サブユニットは膜貫通領域として3本のαヘリックス構造をもつ互いに相同な膜内在性タンパク質であり,クロロフィル'''a'''と'''b'''を約14分子,[[β-カロテン]]と[[ルテイン]]などの[[キサントフィル]]を数分子結合している.しかし,紅藻のLHCIにはクロロフィル'''b'''は存在しない.β-カロテンを結合する点は,[[光化学系Ⅱアンテナ色素タンパク質複合体]](LHCII)と異なる.陸上植物の光化学系Ⅰ複合体には'''Lhca'''1から'''Lhca'''4がそれぞれ1コピーずつ結合する.1個の[[P700]]当たりにして,LHCI全体として80~120分子のクロロフィル'''a'''と'''b''' (Chl a/b=約3.5)を結合しており,その吸収スペクトルから, LHCI-680 (680 nm に吸収極大を示す成分)とLHCI-730 (705~710 nm に吸収極大を示し,液体窒素温度で730~740 nm 付近に蛍光発光極大を示す成分)(→[[光化学系Ⅰの長波長蛍光]])に分けることができる.LHCI-680は'''Lhca'''2と'''Lhca'''3の二量体から成り, LHCI-730は'''Lhca'''1と'''Lhca'''4から成る二量体である.'''Lhca'''5と'''Lhca'''6が微量存在し,光化学系Ⅰ複合体とNDH複合体から構成される超分子複合体に結合している.藻類にはより多くのLHCIが存在し,緑藻のクラミドモナスの光化学系Ⅰには9種のLHCI('''Lhca'''1から'''Lhca'''9)がほぼ1コピーずつ結合する.吸収した光エネルギーは[[光化学系Ⅰ反応中心コアタンパク質]]に結合しているアンテナ色素に伝達される.(→光化学系Ⅱアンテナ色素タンパク質複合体,Lhca遺伝子)


** 関連項目 [#if72ced0]
-[[光化学系Ⅰの長波長蛍光]]
-[[Lhca]]
-[[光化学系Ⅱアンテナ色素タンパク質複合体]]

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