冷害は,冷温による被害の意味であるが,収量が減少しない場合には冷温障害と呼び,減収した場合のみ冷害と呼んで区別する.根の活着不良を例にすると,冷温が原因で起こる活着不良は冷温障害であり,結果として生育遅延・登熟不良となったときに冷害となる.冷害の原因は,直接・間接的に冷気温あるいは冷水温が関与する.生育の全期間で種々の問題が出るが,冷害の種類には,発芽障害,苗の生育遅延や枯死,分げつ抑制,分げつ期の生育抑制,出穂遅延,穂先の退化,不稔,登熟不良,冷いもち,などがあげられる.大きな被害を及ぼす冷害を,特に障害型冷害と遅延型冷害と呼ぶ.障害型冷害は,主に穂ばらみ期や開花期の冷温により不受精が発生するもので,短期間の冷温で壊滅的な被害を与える.遅延型冷害は,登熟期間の冷温による登熟不良による.この場合は,生育が遅延してもその後温暖になれば被害を免れる場合もある.