デサチュラーゼ[desaturase]

  不飽和化酵素ともいう.一般には,脂肪酸の不飽和化を触媒する脂肪酸デサチュラーゼをさす.脂肪酸デサチュラーゼには,アシルCoAデサチュラーゼ,アシルアシルキャリヤータンパク質デサチュラーゼ(アシルACPデサチュラーゼ),アシルリピドデサチュラーゼの3種類が存在し,どのデサチュラーゼも分子状酸素を利用して酸化的に二重結合を脂肪酸に導入する.また,各々の脂肪酸デサチュラーゼには,導入する不飽和結合の位置が異なるデサチュラーゼが数種類ずつ存在する.
 アシルCoAデサチュラーゼは, CoAに結合した脂肪酸に不飽和結合を導入する反応を触媒する.この酵素は,動物,かび,酵母などに存在し,小胞体の膜に結合した膜結合性の酵素である.ステアロイルCoAデサチュラーゼがよく知られているが,この酵素はステアリン酸のΔ9の位置に二重結合を導入する.電子供与体として還元型シトクロムb5を利用する.
 アシルACPデサチュラーゼは, ACPに結合した脂肪酸に不飽和結合を導入する反応を触媒する.植物のプラスチドに存在する可溶性の酵素であるステアロイルACPデサチュラーゼは,ほとんどの植物のプラスチドに存在し,ステアリン酸のΔ9の位置に二重結合を導入する.電子供与体として還元型フェレドキシンを利用する.
 アシルリピドデサチュラーゼは,脂質に結合した脂肪酸に不飽和結合を導入する反応を触媒する.シアノバクテリアや植物に存在する.脂肪酸のΔ6,Δ9, Δ12, Δ15 (ω3)の位置に不飽和結合を導入するアシルリピドデサチュラーゼが存在し,すべて膜結合性の酵素である.植物のアシルリピドデサチュラーゼは小胞体とプラスチドに存在し,小胞体局在型アシルリピドデサチュラーゼは還元型シトクロムb5を,プラスチド局在型は還元型フェレドキシンを各々電子供与体として利用する.

関連項目


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:00