光合成細菌の繊維状非酸素発生型光合成細菌Chloroflexus aurantiacusは温泉沼沢地に生育する中程度好熱菌で,55℃で種々の有機物を利用して光合成従属栄養的に生育する.しかし無機物のみで光合成独立栄養成長することも可能で, 13C-, 14C二酸化炭素固定中間産物として3-ヒドロキシプロピオン酸が見いだされた(Holo, Sirevågら).さらに酵素学的検討を加えてStraussとFuchs (1993)は3-ヒドロキシプロピオン酸回路を提唱した.この回路はアセチルCoAカルボキシラーゼとプロピオニルCoAカルボキシラーゼによりHCO3-2分子を固定し, 2NADPHと3ATPを消費してアセチルCoAを再生する回路で,グリオキシル酸を生成する.これがすべての細胞構成炭素をまかなうとみられる.