1982年にRajagopalanらにより,下図のようなモリブデンを配位するジチオレン基と末端にリン酸エステルをもつ新規なプテリンがニワトリ肝の硫酸レダクターゼやキサンチンオキシダーゼのモリブデンコファクター(MoCo)の構造研究の過程で見いだされた.このプテリンは従来から知られているプテリン化合物とは異なるので,モリブドプテリンと命名された.モリブデンはそれ自体では生物的な活性はないがMoCo(モリブドプテリン, Mo-MPT)として機能する. Mo-MTPは酵素タンパク質の内部に存在し,このMo-MTPのプテリンリング系がモリブデン原子からあるいはモリブデン原子への電子伝達に関わっていると考えられている.植物の硝酸レダクターゼやキサンチンオキシダーゼ,アルデヒドオキシダーゼなどのモリブデンを補因子とするような酵素や,好熱菌から見いだされているギ酸デヒドロゲナーゼやカルボン酸レダクターゼのようなタングステンを補因子とするような酵素に含まれる.