酸化還元状態(レドックス状態)に応じて生理機能を調節する制御メカニズム.遺伝子発現レベルの制御も含まれるが(光合成遺伝子のレドックス制御を参照),ここではタンパク質修飾レベルの制御について述べる.レドックス制御の標的となるタンパク質は,分子表面に存在するシステイン残基のSH基の状態変化(ジスルフィド結合の形成・開裂など)を介して機能調節を受ける.タンパク質還元因子としてレドックス制御に重要な役割を果たすのがチオレドキシンであり,すべての生物に保存されている.葉緑体では,光合成電子伝達系に由来する還元力をフェレドキシンからチオレドキシンを介して標的タンパク質へと伝達している(フェレドキシン―チオレドキシン系).これによって,還元的ペントースリン酸回路を構成する4つの酵素やATP合成酵素などを光照射に応じて活性化させることができる.