原子・分子の電子状態のうち全電子の合成スピン量子数Sが0の状態,つまり電子のスピンが2つずつ互いに反平行(s=+1/2,-1/2)でスピン角運動量を打ち消し合っている状態をいう.パウリの原理に従って,低いエネルギーをもつ軌道から逐次2つずつスピン反平行の電子を満たした多くの有機分子の基底状態,および光を吸収して電子がより不安定な軌道に遷移した励起状態は,一重項状態に分類される.励起一重項状態は蛍光を発して基底状態に遷移することができる.