低温蛍光スペクトル[low temperature fluorescencespectra]

  液体窒素,液体ヘリウム,電子冷却などで100 K以下くらいの低温にすると,有機色素の吸収と蛍光バンド幅は狭く強くなり,光エネルギーや電子移動,色素の存在部位,タンパク質の変異について高精度の情報を与える.植物やシアノバクテリアのクロロフィルaは室温では680 nm 近辺に単一の幅広い蛍光帯を示すが,100 K以下では684,695 nm の2つの蛍光帯に分かれた光化学系Ⅱ由来の蛍光と, 730 nm 付近に室温では見られない光化学系Ⅰの大きな蛍光を示す.吸収帯でもいくつかのバンドを区別できるようになる.種,変異株などの特徴,違いをつかみやすくなる.1分子ごとのスペクトルを絶対零度(4K)で測定して分子構造のゆらぎをみる単分子測定も行われている.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:42:41