系ⅠもしくはPSIと略称される.酸素発生型光合成に関与する2種類の光化学系のうちの1つで,二酸化炭素の還元を可能にする強い還元力を形成する.光化学系Ⅰアンテナ色素タンパク質複合体と光化学Ⅰ反応中心複合体から成る.前者のアンテナ色素系(ペリフェラルアンテナと呼ぶ)に吸収された光エネルギーは,後者に結合しているアンテナ色素系(コアアンテナとも呼ぶ)を経て,光化学系Ⅰ反応中心複合体中心部へ伝達され,そこで,強い還元力をもった光化学系Ⅰ反応中心クロロフィル(P700)の励起状態を形成する.励起されたP700は,光化学系Ⅰの一次電子受容体(A0)に電子を与えて自身は酸化型となり,ここから一連の電子伝達により,光化学系Ⅰ複合体の中の複数の電子受容体およびフェレドキシン,FNRが還元され,最終的にNADP+に電子がわたる.NADP+が還元されて生成されたNADPHは二酸化炭素の還元力として使われることになる.酸化されたP700は,プラストシアニンもしくはシトクロムc6からの電子により再還元される.