差吸収スペクトル法[absorbance differencespectrophotometry]

  吸収スペクトルの変化(差)を利用して,特定物質の濃度や変化を測定する方法.光合成系のように多様な分子が共存するなかで特定分子を観測するのに有効な方法である.たとえば,光化学系Ⅰ複合体の約100分子のクロロフィル中で光照射で酸化されるのは電子供与体クロロフィル二量体(P700)だけである.この場合でも,光照射前後での吸収スペクトル差を計算すると, 700 nmにピークをもつP700の(還元型-酸化型)の差スペクトルが得られ, 700 nm や430 nm での既知の差分子吸光係数からP700量を計算できる.シトクロムやキノン,あるいは外部から加えた酸化還元剤の酸化還元状態変化や時間変化を,可視,紫外,赤外,蛍光などの差スペクトル法により測定できる.既知の差スペクトルに基づき特定の2波長での吸収や蛍光変化を連続モニター可能な二波長分光装置もある.最近は,顕微分光などでプローブ色素を用いた二波長,三波長分光が行われ,微小領域でのpHや電位,遺伝子発現などが研究されている.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:42:45