積み上げ法[summation method]

  物質生産生態学において生態系の光合成生産(総生産および純生産)を求める方法の一つ.群落のある期間の純一次生産量(Pn)は,ΔPn=ΔY+ΔL+ΔGと表すことができる. ΔY, ΔL, ΔGは一定期間の成長量,枯死脱落量,被食量である.これにこの期間の呼吸量を足すと総生産が得られる.森林の場合の成長量の測定では,まず群落を構成する樹木の胸高直径を測定し,それらと伐採個体との相関から現存量を求める.一定期間後に再び胸高直径を測定し回帰によって現存量を求める.この期間の現存量の増加を成長とする.枯死脱落量は森林内に一定面積(通常1m2)のリタートラップを置いて一定期間に回収される落葉や落枝量によって判断する.被食量は,リタートラップによって回収された糞量から逆算して求める.これらの方法は,特に1965年から10年間にわたって行われた国際生物学事業計画(IBP)時代に世界各地の生態系の生産量推定のために使われた.マレーシアの熱帯多雨林をはじめとする種々の森林における大阪市立大学のグループの行った測定は有名.

関連項目


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:46:06