FMOタンパク質[FMO protein]

  緑色硫黄細菌に存在するアンテナ色素タンパク質複合体.発見者の名前からつけられたFenna-Matthews-Olson Bchla proteinの略.菌体をアルカリ条件下で破砕することにより水溶性タンパク質として抽出される.精製された反応中心標品にも約2分子程度が結合してくる.7分子のバクテリオクロロフィルaを結合した分子量約4万のサブユニットが3回対称状の三量体を形成している結晶構造が1975年に光合成色素タンパク質として最初に明らかにされた(Chlorobaculum tepidum由来のFMOタンパク質の結晶構造では、8分子目のバクテリオクロロフィルaの存在が示されている).15本に折りたたまれたポリペプチド鎖から成るβ-シート構造がつくる袋状構造の中に7分子のバクテリオクロロフィルaがヒスチジン残基などに配位して存在しているが,カロテノイドは結合していない.緑色硫黄細菌の主要集光装置であるクロロソーム反応中心の間に存在し,主にクロロソームに捕獲された光エネルギーを反応中心に伝達する役割をもつと考えられている.電子顕微鏡による単粒子解析から、反応中心当たり2個の三量体が結合していると推測されている.なお,緑色硫黄細菌と同様にクロロソームをもつ繊維状非酸素発生型光合成細菌にはFMOタンパク質は存在しない.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:42:52