カルボキシソーム[carboxysome]

  シアノバクテリア(藍藻)の中央部に,電子顕微鏡では電子密度の高い多面体型として観察される細胞内顆粒をいう.二酸化炭素固定酵素Rubisco (ルビスコ), Rubisco活性化酵素ならびに炭酸脱水酵素が局在しており,CO2固定の場である.このカルボキシソームが消失または変形した変異株は,細胞内への無機炭素輸送能は変化しないが,光合成における細胞外の無機炭素に対する親和性は2桁ほど低下し,生育に高濃度のCO2を必要とすることから,細胞内に蓄積された重炭酸イオンからCO2をRubiscoに供給するために,カルボキシソームが必要であると推定されている.炭酸脱水酵素の周囲にRubiscoが配位することで,重炭酸イオンから脱水反応によって生じたCO2分子がRubiscoに供給される.炭酸脱水酵素をコードする遺伝子を破壊すると,カルボキシソームの構造は維持されるが,通常の大気レベルのCO2濃度では光合成的生育が停止し,生育には高レベルのCO2濃度が必要となる.多くの緑藻の葉緑体内に見られるピレノイドはカルボキシソームに類似した機能をもつと考えられている.

関連項目


トップ   編集 凍結解除 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:46:15