紅色細菌の集光性バクテリオクロロフィルタンパク質複合体2(LH2)のサブユニットαとβをコードする遺伝子pucAとpucBは染色体上で隣接して存在する.これらの遺伝子は一つの転写単位を構成して発現制御を受けており,その転写単位をpucオペロンをと呼んでいる.これまで知られている例ではpucBが転写上流側,pucAが下流側に位置している.他の光合成色素タンパクをコードしているpufオペロンやpuhオペロンと同様,低酸素濃度(嫌気環境)下で転写が促進され,pucBとpucAを含む約0.6 kbの短いmRNAが細胞内に多量に蓄積する.代表的な種であるRhodobacter capsulatusなどではpucB, pucAの転写下流域に,さらにpucC, pucD, pucEと呼ばれる遺伝子が存在し、これらの遺伝子もpucB,pucAとともに転写単位を構成している.pucC,pucD,pucEによってコードされるタンパクの機能は必ずしも明確になっていないが,LH2光捕集タンパク複合体の形成過程や構造安定化に寄与していると考えられている.