色素体のストロマあるいはミトコンドリアのマトリックスとサイトソルとの間で代謝中間体を交換輸送することにより,間接的に還元力を輸送するシャトル系の一つ.具体的には,色素体あるいはミトコンドリア内の還元力を用いてリンゴ酸デヒドロゲナーゼの作用によりオキサロ酢酸がリンゴ酸に変換される.生じたリンゴ酸はジカルボン酸トランスロケーターによりサイトソルのアスパラギン酸と交換輸送される.サイトソルに排出されたリンゴ酸はサイトソルのNAD-リンゴ酸デヒドロゲナーゼによりオキサロ酢酸に変換されるが,その際にNADHが生じる.次いでオキサロ酢酸はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼによるアミノ基転移を受けてアスパラギン酸に変換された後,ジカルボン酸トランスロケーターによるリンゴ酸との交換により色素体あるいはミトコンドリア内に輸送される.さらにアスパラギン酸はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼによる脱アミノ反応によりオキサロ酢酸に変換され,引き続き還元力を消費してリンゴ酸に変換される.以上のサイクルにより,色素体あるいはミトコンドリア内のNADPHまたはNADHが消費され,サイトソルにNADHが生ずることになる.すなわち,色素体/ミトコンドリアの還元力がサイトソルに排出されることになる.逆方向にも働くと考えられる.