鉄硫黄クラスターをもつ特徴から鉄硫黄(Fe-S)型反応中心ともいわれ,植物とシアノバクテリアの光化学系Ⅰ,絶対嫌気性の緑色硫黄細菌,ヘリオバクテリアの3種の反応中心を合わせて呼ばれる.このタイプの反応中心はすべて3種の四鉄-四硫黄クラスター(FX, FA, FB)を還元側にもち,光反応で強い還元力をつくり出し,フェレドキシン,NADPを還元する.これらの光合成反応中心は光化学系Ⅰでは80 kDa くらいの大きさをもつ相同の2つのタンパク質(psaA/psaB)が,また緑色硫黄細菌とヘリオバクテリアでは各々60 Da ほどの同一の2つのタンパク質(pscA)2, (pshA)2が反応中心の中核をつくる.この中に電子供与体と受容体クロロフィル,キノン,鉄硫黄クラスターFXが結合し,周辺部にアンテナ(バクテリオ)クロロフィルが30~90分子を結合している. PsaA (PsaB)とPshA,PscAタンパク質相互間にはアミノ酸配列上では見かけ上10~20%以下の相同性しかないが,光化学系Ⅰ反応中心三次元構造と比較すると主要な構造は保持されている.