境界層の内外で起こる熱や物質の拡散速度を定式化するときに用いられるパラメータである.例として境界層内での鉛直方向の熱輸送量をH ,高度0での温度をT(0) ,高度z での温度をT(z) とすると,H を次のように表すことができる
ここで,r は高度0からz までの熱輸送についての境界層抵抗であり,拡散係数K との関係は
と表される.抵抗の逆数は一般にコンダクタンスと呼ばれる.植物と大気の間で交換される熱や水蒸気,二酸化炭素などの量は,植物の生理反応のみならず,葉面に形成される葉面境界層や植物群落内外の物理的な拡散過程によって影響を受ける.葉面境界層抵抗(コンダクタンス)の理論的研究や実測は,平板上の熱伝達理論の研究や風洞装置を用いた蒸散実験を通して進められてきた.大気境界層中の抵抗についての研究は,野外での拡散実験やエネルギー収支に関する研究を通して発展してきた.