ELIP

 エンドウの緑化初期に発現する遺伝子(early light-inducible protein)として1984年に同定されたが,その後Lhcスーパーファミリーに属するストレス応答性の因子であることがわかった.カロテノイドクロロフィルを結合し,チラコイド膜に存在する3回膜貫通型の色素タンパク質である.
 Lhcスーパーファミリーの中ではLhc様ファミリー(Lhc-like family)と呼ばれることもあるサブグループに含まれ、このファミリーの他のメンバーとしては1回膜貫通型のOHP(one helix protein)や2回膜貫通型のSEP (stress-enhanced protein)、4回膜貫通型のPSBS(psbS)がある。Lhc様ファミリーは集光(アンテナ)性のLHCPとは若干異なる配列上の特徴とストレス応答性の発現様式とが共通しており、集光性アンテナとして働くのではなく逆に光ストレス下でストレス緩和に貢献していると考えられている.ELIPの具体的な機能は不明であるが,ストレス緩和に関連する機能(エネルギー散逸など)を持つとする説と、クロロフィル生合成に関与しているとする説がある.
 ELIP遺伝子は陸上植物及び緑藻から広く見いだされている。シアノバクテリアにおいてはELIPは存在せずLhcスーパーファミリーに属する遺伝子としては1回膜貫通型のHLIP (high light-inducible protein、陸上植物のOHPと相同)があるのみである.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:44