F0蛍光[F0-prompt fluorescence]

  光化学系ⅡQAキノン電子受容体がすべて酸化型であって,光化学系Ⅱ蛍光収率が最小のときのクロロフィル蛍光をF0蛍光という.十分に暗順応した試料の蛍光に相当する.開いた(open)状態の反応中心の蛍光の意味で,あるいは蛍光誘導期現象の測定開始点(origin)の蛍光の意味で,Fo(エフ・オー)と表記される場合も多い.蛍光の収率変化をあまり示さない光化学系Ⅰの蛍光は,F0蛍光に寄与する他,シアノバクテリアなどのフィコビリン系色素を含む生物では,フィコビリンからの蛍光もF0蛍光に寄与する.一般にストレス条件におかれた植物などではF0の上昇がみられることが多い.PAM蛍光法では,還元型QAの蓄積が無視できる程度の微弱な変調測定光のみを照射したときの蛍光としてF0蛍光の測定が可能である.一方,QAキノン電子受容体がすべて酸化型であっても,強い励起光照射直後などにおいては,誘導された非光化学消光のため蛍光の収率は低下し,F0よりもさらに小さい蛍光が観察されることがあり,これはF0と区別してF0'と表記される.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:46:15