PSIIと略称される.酸素発生型光合成に関与する2つの光化学系(PSII, PSI)の1つで,水の分解を可能にする強い酸化力を形成することを特徴としている.光化学系Ⅱ反応中心を中核にして構成されるこの反応系では,特殊な分子環境下にあるクロロフィルa(P680)がアンテナ色素系から供給される励起エネルギーを受け取り(または直接光を吸収して),その励起一重項状態を経由して電子を隣接するフェオフィチンa (Phe)分子に伝達することで反応が開始される.還元型となったPheはD2タンパク質に結合しているプラストキノン(QAキノン電子受容体)に電子を渡し酸化状態に戻る.この電子はQBキノン電子受容体,シトクロムb6/f複合体を経由して光化学系Ⅰに渡され、最終的に二酸化炭素の同化に利用される.一方,酸化型になったP680はYzと呼ばれるD1タンパク質の161番目のチロシン残基から電子をもらい還元され、酸化型のYzは酸素発生反応の触媒中心であるマンガンクラスターの触媒作用により,外界の水分子から供給される電子により還元状態に戻る.この反応では最終電子供与体として水が利用されるため,次式により副産物として酸素が発生する.
2H2O → 4e- + 4H+ + O2