クロロフィリドaのB環C7=C8二重結合を還元し3-ビニルバクテリオクロロフィリドaを生成する酵素.Chlorophyllide a oxidoreductaseとも呼ばれCORと略称される.光非依存型プロトクロロフィリドレダクターゼ(DPOR)と同じくニトロゲナーゼ類似酵素の一つで,3つのサブユニットBchX, BchY, BchZから成る.BchXはホモ二量体としてX-タンパク質(ニトロゲナーゼのFe-タンパク質、DPORのL-タンパク質に類似)、BchYとBchZはヘテロ四量体としてYZ-タンパク質(ニトロゲナーゼのMoFe-タンパク質,DPORのNB-タンパク質に類似)を形成し,各々ATP依存性の還元コンポーネントと触媒コンポーネントとして作用する.X-タンパク質は,二量体当たり1個の[4Fe-4S]クラスターを保持し,フェレドキシンなどから受け取った電子を,このクラスターを介してATP加水分解と共役して,YZ-タンパク質の保持する[4Fe-4S]クラスターに送り出す.YZ-タンパク質の[4Fe-4S]クラスターはクロロフィリドaの直接の電子供与体となると推察される.バクテリオクロロフィルaを生産する光合成細菌(Rhodobacter capsulatusなど)のCORは,クロロフィリド8-レダクターゼ活性も有する.すなわち,3,8-ジビニルクロロフィリドaが基質の場合,C8位のビニル基還元とC7=C8二重結合還元という2つの還元反応を触媒し,3-ビニルバクテリオクロロフィリドaを生成する.また,バクテリオクロロフィルbを生産する光合成細菌(Blastochloris viridisなど)のCORは,3,8-ジビニルクロロフィリドaを基質として,C8位のエチリデン基を形成し,バクテリオクロロフィリドgを生成する活性を有する.