クロロフィルaの3位のビニル基がホルミル基に置換した構造をもつクロロフィル.原核光合成生物であるアカリオクロリス(Acaryochloris sp.)に主要色素として含まれている.赤色光の吸収極大は,クロロフィルaに比べ30 nm程度長波長側に存在する.大型紅藻に含まれるクロロフィルとして報告されたものの,紅藻類に報告されてきたクロロフィルdは、紅藻類の藻体表面に付着するアカリオクロリス細胞に由来していることが明らかになり、紅藻類はクロロフィルdを生産しないことが明らかになった.沿岸をはじめ、北極海から南極沿岸まで広く検出される. アカリオクロリスでは,集光色素として機能するほか,反応中心クロロフィルとしても機能している.2014年には、クロロフィルfを生産するいくつかのシアノバクテリアが遠赤色光照射条件で、クロロフィルfの合成の誘導に際して、少量のクロロフィルdも合成蓄積することが報告されている.