2-オキソグルタル酸+NH3+NAD(P)H + H+⇔グルタミン酸+H2O+NAD(P)+の反応を触媒する酵素. GDHと略される.NAD+に特異的なタイプ(EC 1.4.1.2), NAD+, NADP+両方を利用できるタイプ(EC 1.4.1.3), NADP+に特異的なタイプ(EC 1.4.1.4)がある.高等植物のGDHはNAD+に特異的であり,分子量約4万のサブユニットから成る六量体酵素で,ミトコンドリアに局在する.一次構造の類似した2種類の核遺伝子にコードされ,その産物がヘテロ六量体を形成することから計7種類のアイソザイムが存在する.高等植物やウキクサ(Lemna minor)のGDHのグルタミン酸生成反応(アミノ化反応)はカルシウムイオン依存性であるが,逆反応(脱アミノ化反応)は非依存性.反応は可逆的であるが,グルタミン合成酵素(GS)に比べアンモニアに対するKm値が高い(10~45 mM)ことや, GDH遺伝子の発現量が暗処理時に増し,培地への糖添加で減少することなどから,生体内でのアンモニア同化はGSによって担われ, GDHは炭素骨格不足時の,グルタミン酸の分解による炭素骨格(2-オキソグルタル酸)の補填供給に寄与していると予想される.トウモロコシなどのC4光合成植物の葉では維管束鞘に遍在している.シアノバクテリア(Synechocystissp. PCC6803), クロレラ(Chlorella sorokiniana)のGDHはNADP+に特異的であり,クロレラでは葉緑体に局在することが知られている.