シンクやソースは必ずしも固定的なものではなく,植物の生活史のなかで変化する場合があり,これをシンク-ソース転移という.葉が最も顕著な例で,未成熟な葉は自身の成熟のために他のソースから光合成産物の供給を受けるシンクであるが,成熟して光合成能が高まるにつれて他のシンクへと光合成産物を送り出すソースへと変化する.タバコやトマトなどの双子葉植物では個葉の成熟はその頂部から基部へと進み,その葉の葉面積が完全展開時の30~60%にまで達すると光合成産物を送り出すソース能が認められるようになる.また,イネやコムギの稈や葉鞘は出穂前には光合成産物をデンプンやフルクタンの形で一時的に蓄積するシンクとして働き,出穂後はそれらを分解して穂に送り出すソースとして働くシンク-ソース転移を示す.