Joliot, Pierre, 1932-.フランスの生物物理学者.パリ大学を卒業,現在も同大学教授. 1960年クロレラの酸素発生の誘導現象の研究で学位を得たが,これは暗所においたクロレラでは光を照射しても直ちには酸素が発生しないというフランクの知見(1945)を追試したもので,フランクの実験が嫌気条件で行われたという問題を高感度酸素電極(ジョリオ電極)の開発によって解決した.その後,暗所に置いた葉緑体で酸素発生を活性化する光の作用スペクトルが光化学系Ⅱの吸収と一致すること,酸素発生系の活性化には連続した2回の閃光照射が必要で3番目の閃光で最大の酸素発生が起こることを明らかにした.さらにコックと協同で酸素発生系の電荷状態(S状態)が4光量子ごとに循環して酸素1分子が発生するというモデル(S状態モデル,4周期振動モデル)を導き,光合成で酸素が発生する分子機構の解明に大きく貢献した.