ポルフィリンD環のC17-C18結合が二重結合のクロロフィルの生合成中間体.626 nm 付近に特有の吸収極大をもち,そのモル吸光係数は30.4×103(80%アセトン中)である.光依存型プロトクロロフィリドレダクターゼ(LPOR)もしくは光非依存型プロトクロロフィリドレダクターゼ(DPOR)により,クロロフィリドaに変換される.被子植物はプロトクロロフィリド還元系としてLPORのみを有するため,暗所ではプロトクロロフィリドが大量に蓄積し黄化する.黄化葉のエチオプラストではプロトクロロフィリドはLPORとNADPHとの三者複合体を形成し,特有の格子状構造をもつプロラメラ体の主要成分となる.LPORと結合した基質プロトクロロフィリド自身が光依存的反応の光吸収を担う発色団としての役割も果たす.キュウリやダイコンなど多くの植物の黄化葉では,C8位がビニル基である3,8-ジビニルプロトクロロフィリドの蓄積も検出される.