個体をとりまく光環境から光情報,光エネルギーを受容する物質.生物は光受容体を通して生体の各種反応に光を利用している.植物の光受容体には光合成の光受容体であるクロロフィルや光情報利用のためのフィトクロム,クリプトクロム,フォトトロピンなどがある.光形態形成に働く主要な光受容体として,シロイヌナズナではフィトクロムが5種類,クリプトクロムが2種類,フォトトロピンが2種知られているが,これらに加えて,UV-Bの受容体であるUVR8,LOVドメインを持ち光周性に関わるZTL,クリプトクロムと構造の似たCry-DASHなども光受容体として働くと考えられている.しかしながら,菌類,藻類などの光反応の作用スペクトルには既知の光受容体では解釈できないものも多く,新たな光受容体の発見が期待される.例えばシアノバクテリアでは,フィトクロムに類似のアミノ酸配列をもつバクテリオフィトクロムの配列が多数見つかっており,ほとんどは作用不明であるが, Fremyella diplosiphonのRcaEタンパク質は補色馴化の光受容体であることが判明している. 2002年にはFADを結合するBLUFドメインをもつ光受容体AppAが,ミドリムシや紅色非硫黄細菌(Rhodobacter)の1種で発見されており,さらに広い生物種に見いだされる可能性がある.