硝酸イオンを吸収・代謝変換して有機性含窒素化合物を合成することをいう.細胞内への硝酸イオンの輸送,硝酸イオンのアンモニアへの還元(=同化的硝酸還元),およびアンモニア同化,の3つの段階に分けられる.硝酸同化を営む能力は,光合成生物のほか,糸状菌,酵母,細菌などに分布するが,動物にはない.酸素発生型の光合成を営む生物は,ユーグレナやプロクロロコッカスのような例外を除き,シアノバクテリアから高等植物に至るまですべて硝酸同化能を有している.これらの生物は,海水,淡水,あるいは土壌中の硝酸イオンを主要な窒素源として同化しており,地球上の窒素循環において重要な役割を果たしている.光合成細菌は一般的には硝酸同化能をもたないとされているが,硝酸同化を行う例も報告されている.