鉄硫黄センターAとも呼ばれる.光化学系Ⅰの電子受容体の一つ.FAと略称される. [4Fe-4S]構造をもち,PsaC上に存在する.酸化還元電位は約-550mV.PsaC上のもう1つの鉄硫黄クラスターBに比べて鉄硫黄クラスターXにより近いため(FX-FA間の距離は14.9Å),鉄硫黄クラスターXから電子を受容し,鉄硫黄クラスターBに電子を与えると考えられている.FAは光化学系Ⅰの膜結合性電子受容体のうち最も高い酸化電位をもつため,フェレドキシンや人工的な電子受容体がない場合は,P700からFAへ伝達された電子は約20ミリ秒でP700へ再び戻る.FAは還元されると10K程度の極低温でg=1.86,1.94,2.05付近に特徴的なEPRシグナルを示す.緑色イオウ細菌やヘリオバクテリアも光化学系Ⅰ型反応中心をもち,電子受容体としてFAが機能している.緑色イオウ細菌ではPscB上に,ヘリオバクテリアではPshB上に存在している.