鉄硫黄センターXとも呼ばれる.光化学系Ⅰの電子受容体の一つ. FX (またはA2)と略称される.酸化還元電位は約-700 mV. フィロキノンから20~150ナノ秒で電子を受容し,鉄硫黄クラスターAに電子を与える. [4Fe-4S]構造をもち,4個の鉄原子はPsaAとPsaBから2個ずつ供給されるシステイン残基のSとそれぞれ配位結合している. PsaA/Bのストロマ側, PsaCの近くに存在する.FXは還元されると10K以下の極低温でg=1.76付近に特徴的なEPRシグナルを示す.しかし,還元力が高いため,F&subscX;から電子を受け取る鉄硫黄クラスターA/Bを前もって還元しておくか,鉄硫黄クラスターA/B(PsaC)を除去した後,強い還元剤存在下・光照射によってはじめてFXは還元される.緑色イオウ細菌やヘリオバクテリアも光化学系Ⅰ型反応中心をもち,電子受容体としてFXが機能している.緑色イオウ細菌ではPscAのホモ二量体上に,ヘリオバクテリアではPshAのホモ二量体上に存在している.