light-harvesting chlorophyll protein complex Iの略.緑色植物の光化学系Ⅰの周辺集光装置として機能するクロロフィル a/b 結合タンパク質複合体.光エネルギー捕捉および伝達の場という機能をもつ.生化学的操作によって,蛍光極大波長の異なる集光性クロロフィルタンパク質複合体Ⅰ-680と集光性クロロフィルタンパク質複合体Ⅰ-730に分画される.高等植物では, Lhca1~4の4つの核遺伝子にコードされる分子量2万~2.5万のサブユニットで構成される.各サブユニットは膜貫通領域として3本のαヘリックス構造をもつ互いに相同な膜内在性タンパク質であり,クロロフィルを8~10分子,ルテインなどのキサントフィルを数分子結合する.クロロフィルaとクロロフィルbの化学量論比は3~4.
同様の光化学系Ⅰの周辺集光装置としてのクロロフィル結合タンパク質は、緑藻以外の藻類でも知られている.珪藻や褐藻を含む不等毛藻類のLHCIはクロロフィルa/c/フコキサンチン結合タンパク質である.紅藻のLHCIはクロロフィルa/ゼアキサンチン結合タンパク質である.なお、紅藻はLHCIをもつが、LHCIIは見つかっておらず、フィコビリソームが光化学系Ⅱのアンテナである.