紅色植物門ウシケノリ綱に属する藻類の一属.異形世代交代を行い,ふつう目にするのは冬期に生育する配偶体であり1〜2細胞層からなる巨視的な葉状体を形成するが,夏期に生育する胞子体(コンコセリス期 conchocelis phase)は微小な分枝糸状体でありふつう貝殻に穿孔している.葉緑体は紅色,配偶体では中軸星状で周縁チラコイドを欠くが,胞子体では側膜性で周縁チラコイドをもつ.光合成色素としてクロロフィルa,フィコビリタンパク質(アロフィコシアニン,R-フィコシアニン,R-フィコエリスリン),ルテイン,ゼアキサンチン,β-カロテンなどが報告されている.多くは潮間帯上部〜飛沫帯に生育する.日本では古くからアサクサノリ(Pyropia tenera)が食用とされてきたが(現在は絶滅危惧種とされる),現在ではスサビノリ(Pyropia yezoensis)が大規模に養殖されている.また中国ではハイタンアマノリ(Pyropia haitanensis)も養殖されている.スサビノリにおいて核,色素体,ミトコンドリアゲノム塩基配列が報告されている.
これまでPorphyra属にまとめられていたが,近年分子系統学的研究に基づいて複数の属(狭義のPorphyra, マクレアマノリ属 Boreophyllum,ベニタサ属 Wildemania,アカネグモノリ属 Miuraea,アマノリ属 Pyropiaなど)に分割され,食用種などよく知られた種の多く(アサクサノリ,スサビノリ,ウップルイノリ,オニアマノリなど)はPyropiaに移された(そのためアマノリ属という和名もPorphyraからPyropiaに対するものに移された).約60種が知られ,日本からは約20種が報告されている.色素体DNA塩基配列が報告されている Porphyra purpureaはPorphyra属のままである(Porphyraのタイプ種).