光化学系Ⅰ複合体の結晶構造解析[PSI crystal structure analysis]

  タンパク質の結晶化およびそのX線回折による構造解析は,タンパク質の構造と機能を調べる上で最も重要な手段の一つである.膜結合性のタンパク質として,光合成細菌Rhodopseudonomas viridisの光化学反応中心複合体から初めての結晶がつくられ, 1984年にX線構造解析によりその三次元的な構造が明らかになった. ダイゼンホーファー(Deisenhofer)らはその功績により1988年にノーベル賞を受賞した.その後, Wittらのグループは好熱性シアノバクテリアThermosynechococcus elongatusの光化学系Ⅰ複合体の結晶を用いて,1993年に6Å, 1996年に4Å, 2001年には2.5Åの分解能でその構造解析を行い,その結果,現在では光化学系Ⅰ複合体の詳細な三次元的構造がわかっている.T. elongatusの光化学系Ⅰ複合体は12個のポリペプチド,95分子のクロロフィルa,1分子のクロロフィルaエピマー,22分子のβ-カロテン,3つの四鉄-四硫黄クラスター,2分子のフィロキノン(ビタミンK1),4分子の脂質(3分子のホスファチジルグリセロール,1分子のモノガラクトシルジアシルグリセロール)が有機的に組み合わさって構成されており,光エネルギーの反応中心への伝達機構,反応中心における化学的エネルギーへの変換機構などを構造に基づいて解析することが可能になった.その複合体をチラコイド膜面に対して横から見たときの構造を下の図に示してある.

PSIcrystal.png

関連項目


添付ファイル: filePSIcrystal.png 2252件 [詳細]

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:46:15