C4植物サブタイプ[C4 plant, subtype]

  C4植物は,維管束鞘細胞での主な脱炭酸酵素の違いにより3種類のサブタイプに分けられる.これに加えて, (a)脱炭酸酵素の細胞局在性をはじめ, (b)維管束に対するBSC葉緑体の細胞内配置とグラナチラコイドの発達状態,(c)葉肉細胞(MC)でつくられる主なC4ジカルボン酸の種類,(d)MC/BSC間を往来するC4/C3化合物の違いなど,様々な構造と機能において多様性がみられる.

 1.NADP-リンゴ酸酵素(NADP-ME)型:a)葉緑体に局在し,生成するNADPHはC3回路の還元段階に用いられる.b)葉緑体はグラナが少なく,単子葉植物では遠心的(双子葉植物では求心的)に配列する.c)リンゴ酸,d)リンゴ酸/ピルビン酸である.
 2. NAD-リンゴ酸酵素(NAD-ME)型:a)ミトコンドリアに局在し,生成するNADHによりオキサロ酢酸がリンゴ酸に還元される.b)単子葉,双子葉植物ともにグラナの発達した葉緑体が求心的に配列する(イネ科キビ亜科の中には遠心的に配列する種もある).c)アスパラギン酸,d)アスパラギン酸/アラニンである.
 3. PEP-カルボキシキナーゼ(PCKまたはPEP-CK)型:単子葉植物のみで,双子葉植物では未発見である.a)細胞質のPEP-CK活性は高いが,ミトコンドリアにNAD-ME活性もあり,両酵素がそれぞれオキサロ酢酸とリンゴ酸の脱炭酸に働く.b)葉緑体はグラナが発達し遠心的に配置する.c)アスパラギン酸とリンゴ酸,d)アスパラギン酸とリンゴ酸/アラニンとPEPである.

 なお,これらの脱炭酸酵素による分類は主たる脱炭酸酵素活性によって分類されており,他の脱炭酸酵素を少ないながらも併用する種も多く存在する.

関連項目


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:46:17