生物界に普遍的に存在し,種々の酵素のジスルフィド結合の酸化還元を介して,それぞれの活性を調節するタンパク質(分子量1万~1.3万).植物の葉緑体にはチオレドキシンmとチオレドキシンfが存在し,還元的ペントースリン酸回路, ATP合成系,脂質合成系など葉緑体内で起こるさまざまな物質代謝経路の酵素を調節している.また,酸化されたタンパク質の再生や活性酸素種の消去などにも機能している.葉緑体のチオレドキシンは,光合成電子伝達系のフェレドキシンからフェレドキシン-チオレドキシンレダクターゼを介して電子を受け取って還元型になり、標的となる酵素やタンパク質を還元する.標的を還元して酸化型となったチオレドキシンはチオレドキシンレダクターゼにより還元型に再度還元される.生体内では、活性酸素種の消去に各種のペルオキシダーゼの他、チオレドキシンペルオキシダーゼホモログであるペルオキシレドキシンが重要な役割を果たしている.