植物の二次代謝産物の代表的な化合物であるフェニルアラニン由来の桂皮酸類と3分子のマロニルCoAから生合成され,C6-C3-C6の15個の炭素原子から成る基本骨格をもつ一群の植物由来のフェノール性化合物の総称.基本骨格の炭素原子には水酸基,メトキシル基,分枝炭素鎖などが結合している.フラボノイド類は,骨格中央の3個の炭素原子がつくり出している構造部分によりさらに細かく分類され,主な化合物として(1)フラボン, (2)フラボノール, (3)イソフラボン, (4)カルコン, (5)オーロン, (6)フラバン3-オール(カテキンなど), (7)アントシアニジン, (8)ロイコアントシアニン(プロアントシアニン)などに分類される.なお,フラボノールやアントシアニジンなどは,通常は配糖体として存在しており,後者はアントシアニンと呼ばれる.フラボノイド類は蘚苔類以上の植物に広く分布しており,特に葉や茎などの表皮細胞には高濃度に存在し,通常,紫外線領域部に強い吸収をもつので,太陽光からの有害紫外線を吸収する働きをしていると考えられている.さらに,花や果実の着色の色素,フィトアレキシン,摂食阻害物質などの働きをするものもあり,今日までに4,000種類を越える化合物が報告されている.