同調培養(法)[synchronized growth]

  増殖細胞には,分裂やDNA複製に周期性がみられ,生活環(life cycle)と呼ばれている.同調培養は,すべての細胞集団が生活環の特定の生育段階から同時に出発し,逐次にその段階を経過して再び元の段階へと同時に戻る現象である.すなわち,新生した娘細胞が成長,分裂して,再び娘細胞を生じる過程である.このように細胞集団や核が同調的に分裂する現象は,自然環境の下では細菌,粘菌,植物や動物細胞などで観察されている.
 同調培養法は,培養中の細胞集団の分裂周期を人為的に揃えて培養する方法で,生活環の研究に微生物から高等動植物培養細胞に至るまで用いられている.細胞を同調する手法は大別して選別法と誘導法とに分けられる.選別法には細胞の大きさ,形状などを指標にし,細胞の生育段階を揃える密度勾配遠心法,メンブラン法や濾過法などがある.田宮(1953)らは緑藻クロレラを用い,対数期の細胞集団について分別遠心を繰り返し行い,均質な生育段階の同調細胞集団を選別することに世界で初めて成功した.誘導法には,低温や高温による温度法や明暗法などがある.単細胞藻類の同調化には,主に光の調節による明暗法が応用されている.
 同調培養細胞が実験に用いられるのは,同調した細胞培養集団を経時的に観察することによって,生活環の運行に伴うオルガネラの微細構造の変化や遺伝子および酵素などの発現を解析することが可能になるからである.その結果,オルガネラの微細構造の変化と生理生化学的変化などを直接,結びつけて考察することができる.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:36