振動緩和[vibrational relaxation]

  分子のエネルギー的に高い振動状態から低い振動状態へ無放射遷移する過程をいう.振動モードにより振動緩和速度は異なるが,振動の量子数vもつ状態からv-1をもつ状態への振動緩和速度はvに比例する.振動緩和は電子状態間の無放射遷移の過程で重要な役割を果たす.たとえば電子状態間A(v'=0)→B(v=v)の内部転換とB(v=v)→B(v=0)の振動緩和の組合せにより電子状態B (v=0)への無放射遷移が最終的に実現する(A,Bは電子状態,vは振動の量子数を表わす)(図参照).溶液中あるいはタンパク質に結合した光合成色素*においては,周囲の分子系は比較的高振動数の分子内振動および低振動数の回転的・並進的格子振動の存在によりほぼ連続的なエネルギー値をもつ熱浴を形成しているので,色素分子の振動緩和は10-12秒程度の時間で効率よく起こる.色素のある振動モードのエネルギーが,分子内で等エネルギー的に他の複数の振動モード間に分配されてから振動緩和により散逸される,というメカニズムも存在しうる.各電子励起状態は分子構造が異なるので,それぞれ特異的な振動モードをもつ.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:45:58