海洋・湖沼などの水圏環境の生物が一日のなかで規則的に生息深度を移動させる現象.光合成生物に限らず,遊泳力をもつ多くの生物で知られている.一般に鉛直移動には光,栄養塩類,摂食などの資源利用面と,捕食回避のメリットがあると考えられる.光合成生物については遊泳力のある鞭毛藻類やガス胞で浮力調節を行うシアノバクテリア類などの例が知られている.*渦鞭毛藻類などでは早朝から午前中に上層に移動して,午後から夜間にかけて下層に移動するというケースが多く,昼間の光合成と夜間の栄養塩同化を両立させる利点があると指摘されている.この場合,日の出前に上昇を始め,午後に下降を始める例もあり,一般に走光性だけでは説明できない.