広い場所で風速,気温,気体濃度などの鉛直分布を測定することにより,鉛直方向へ輸送される顕熱や気体の量を求める方法である.傾度法ともいう.一般には植物群落や地表面の凹凸に比べて十分に高い観測塔をたて,風速,気温,気体濃度などを2~5高度で測定する.平坦な地形上に形成される風速,気温,濃度などの鉛直分布は,測定高度の対数に比例する形で相似的に表せることが知られており(モニン-オブコフの相似則),測定された量の鉛直分布を相似則にあてはめることによって,熱や物質の鉛直輸送量を計算することができる.空気力学法では各量の時間平均値を用いるため,渦相関法に比べて応答の遅い測器でも利用可能である.ただし,大気中に形成される各量の鉛直分布は風上の影響を広く受けるため,風上方向の地形や植物の状態が広い範囲で一様でなければならない.必要とされる風上吹送距離はおおまかにいって測定高度の数十倍程度である.