系統発生[phylogeny]
種のような特定生物群が,成立から絶滅までの進化過程でたどった変化の道筋.生物が卵から発生し成育する過程である個体発生に対する概念としてヘッケルによって提唱された.個体発生については直接観察可能であるが,過去の出来事である系統発生については直接観察することができない.現生生物の種間での形態・生理・生態・分子などの形質の類似や差異などは,進化過程の類似や差異を反映するため,これらの間接証拠に基づいて系統発生を推定することができる.近年では,分子データを用いた系統解析によって推定される系統樹に基づいて系統発生を考察することが多い.