葉緑体の形成に関与する遺伝子の変異で,葉緑体の形態・組成・機能などの異常を示す.色素体突然変異に含まれる.狭義には葉緑体ゲノム上の変異をさすが,広義には植物の3つのゲノムいずれの変異も含む.葉緑体の大きさや形,内部構造などに変化が起こっており,これらの変異体の多くは,クロロフィル合成系遺伝子が正常な場合でも葉の色が野生株より薄く,アルビノとなる場合もある.光合成能も低下・喪失していることが多い.クロロフィルの量が減少し葉が黄緑色になったものをクロリナ(chlorina)変異体,葉が黄色になったものをキサンタ(xantha)変異体と呼ぶ.葉緑体ゲノム上の変異のほか,クロロフィルやカロテノイドなど,体色に直接影響する色素の生合成経路に欠損をもつもの,葉緑体内での転写・翻訳系に欠損をもつもの,葉緑体への物質輸送に関わる遺伝子に欠損をもつもの,葉緑体の膜の成分の代謝に欠損をもつもの,葉緑体数が減少するものなどが報告されている.