葉緑体RNAのプロセシング[processing of chloroplast RNA]

  陸上植物の葉緑体遺伝子の多くは,隣接する複数の遺伝子と一緒に共転写される.この場合,光合成など機能が同じ遺伝子ばかりでなく,機能が異なる遺伝子が共転写されポリシストロニックな一次転写物が生成される.一次転写物から,RNAのプロセシングという過程を経ることによって,機能をもつ複数の成熟RNA分子がそれぞれ生成される.葉緑体の遺伝子発現においては, RNAのプロセシングと総称されるRNAレベルでの転写後制御が大きな比重を占める.
 psbBオペロンは psbB, psbT, psbH, petB, petDの5つの遺伝子から成り,全長5.6 kbのポリシストロニック一次転写物として転写される.エンドヌクレアーゼの働きで一次転写物中のタンパク質コード領域(シストロン)の間で切断され,2つまたは3つのシストロンをもつRNA中間体が複数種生成する.生成した各種RNA中間体にエキソヌクレアーゼが作用して, RNA分子の5'末端と3'末端が形成される.3'末端部分にはヘアピン構造があるため,中間体RNAは安定に葉緑体内に蓄積できる.イントロンをもつ遺伝子領域(petBpetD)はスプライングされてイントロンが除かれる.またpetB pre-mRNAではRNAエディティングが起る. このような過程を経て最終的に,ジシストロニックなpsbB-psbT mRNAとモノシストロニックな3種のmRNAがそれぞれ生成する.トウモロコシのpsbBオペロンの場合,少なくとも20種のRNA分子種が葉緑体内に検出される.このように,1つの転写単位から複数の中間体RNAや成熟RNAができ,それぞれのRNA分子が葉緑体の中で安定に蓄積している.

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Last-modified: 2015-03-23 (月) 16:36:54 (1761d)

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