酸素電極[oxygen electrode]

  ポーラログラフ方式によって光合成や呼吸に伴う反応液中の酸素濃度の変化を調べるのに最もよく利用されている装置が酸素電極である.通常,測定電極には白金,対照電極には銀を用い,電圧に対して電流値の変化がプラトーになる0.65 V付近の電圧をかけ,そのとき流れる電流値を酸素濃度に変換する.両電極および電解液(飽和KCl溶液)を酸素が透過できるテフロンやポリエチレン膜で覆い測定液に浸けるクラーク型の酸素電極が最も一般的である.大きな白金電極を用い,その上に直接反応液をのせテフロン膜などを隔てて電解液および対照電極と結びつけるジョリオ型の電極もある.陰極(白金電極)ではO2+4e- + 4H+→2H2Oの反応が,陽極(Ag-AgCl電極)では4Ag+4Cl-→4AgCl+4e-の反応が起こり,溶存酸素濃度に比例した電流が流れる.
 電極周辺の温度変化に対して電流値は敏感に変動するので,光合成測定に使用する励起光は5cmの水フィルターなどを通すことで熱線をカットする必要がある.電流値と酸素濃度との関係は,溶存酸素濃度のわかっている溶液を準備し,その溶液での電流値を調べることで決定する.具体的には,測定する温度で空気中の酸素濃度(20%)と平衡になった蒸留水を用意する.たとえば,25℃で1気圧の空気と平衡になった蒸留水中の溶存酸素濃度は254μMである.その蒸留水を酸素電極に浸したときの電流値と,ジチオナイト(Na2S2O4)の粉末を入れ,溶存酸素をすべて消費した後の電流値との差をその溶存酸素濃度に対応した電流値とする.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:45:47