電子-電子二重共鳴[electron-electron double resonance (ELDOR)]

  2つの異なる共鳴周波数をもつ電子スピンに各々の共鳴電磁波を同時にかける方法.最初EPRの定常波法で2つの周波数を2本の共鳴線それぞれに供給し,一方を飽和して他方でその効果を観測し,その効果から2種のラジカル相互作用や空間配置などを研究していた.その後,パルス法により空洞共振器に少し異なる周波数を送り込み,一つの周波数では第1と第3パルスでスピンエコーを観測し,他の周波数では別のスピンを第2パルスで回転させる手法が発達した.スピンエコーの振動から双極子相互作用を決定し,これをラジカル間距離を求めるのに利用する.また信号の重なっている異なるラジカル種で同じ周波数‘2+1'系列でも双極子相互作用を観測できる.光合成系では2個のラジカルや常磁性種をトラップして距離を求める.YDとYZの30Å,YDとMn(S2)の27Åなど数対の距離が観測されている.膜を配向して距離ベクトルの膜法線との角度も5度の精度で決定できる.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:46:17