DNA修復[DNA repair]

  様々な外的(放射線,紫外線,食物や環境中の変異原など)・内的(代謝の過程で生じる活性酸素種など)要因によりDNA上に生じた損傷(酸化的損傷,ピリミジン二量体,一本鎖切断,二本鎖切断,アルキル化など)や複製時に生じた誤り(複製エラー)を元の正しいDNA配列に直す(修復)こと. DNAの損傷は, DNA複製や転写を阻害したり,突然変異を誘発するが,大腸菌からヒト,植物に至る生物は,種の存続のため多種多様なDNAの損傷に対する多様な修復機構を備えている. DNA修復機構は大腸菌,酵母、動物を中心に解明されてきたが,植物においても近年明らかにされつつある. DNA修復機構は主に以下の3つがあげられる. (1)単一酵素による直接的修復:紫外線によって生じるピリミジン二量体(シクロブタン型ピリミジン二量体, (6-4)光産物)は,光回復酵素がそれら損傷を特異的に認識し,青色光を利用して元の単量体塩基に修復する(光修復),アルキル化された塩基は脱アルキル化する酵素(O&supsc(6);-メチルグアニン-DNA-メチルトランスフェラーゼなど)が,また一本鎖切断を受けたDNAは, DNAリガーゼが直接修復する. (2)複数の酵素群による除去修復:塩基損傷を受けたDNAを含むその周辺のヌクレオチドを取り除き,損傷を含まない相補鎖を鋳型として, de novo合成によって元通りの二本鎖DNAに修復する機構である.この修復機構は,損傷の種類によって,塩基除去修復,ヌクレオチド除去修復,ミスマッチ修復に大別され,これらの反応は複数の酵素群(エンドヌクレアーゼ, DNAポリメラーゼ, DNAリガーゼなど)によって進行する.また,真核生物のヌクレオチド除去修復は,ゲノム中のあらゆる場所で生成した損傷を修復する機構と,転写と共役して鋳型鎖上の損傷を選択的に排除・修復する機構がある. (3)組換え修復:DNAの複製途中で損傷部分の相補鎖にギャップが生じた場合や二本鎖切断が生じた場合など,相同組換え,非相同組換え(非相同末端再結合)機構により損傷を修復する.

関連項目


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:45:22