Rubiscoアクチベース[Rubisco activase]

 Rubisco (ルビスコ)は葉緑体内の低CO2濃度下では,ほとんどが活性化型になることができず,この低CO2濃度下でRubiscoの活性化の促進を触媒するのがRubiscoアクチベースである.RubiscoアクチベースはRubiscoの阻害剤であるCA1P(2-カルボキシアラビニトール1-リン酸)および基質であるリブロース1,5-ビスリン酸がRubiscoの触媒部位に結合した不活性化型Rubiscoからこれらを解離させ,活性化型に転換する反応も触媒する. Rubiscoアクチベース欠損のシロイヌナズナは通常の大気中ではほとんど光合成を行うことができず,Rubiscoアクチベースは光合成に必須である.RubiscoアクチベースはATP加水分解活性を有しており,この反応と共役することで, Rubiscoの活性化を行っている.またRubiscoアクチベース遺伝子は核ゲノムにコードされており,多くの植物ではオールタナティブスプライシングにより分子量の異なる2つのアイソフォームが合成され,葉緑体移行シグナルにより葉緑体に運ばれる.一方,タバコやキュウリなどでは,アイソフォームは存在しない。現在,これらのアイソフォームの有無や存在意義について精力的に研究が行われている.Rubiscoアクチベースはチオレドキシンによって仲介される葉緑体内酸化還元,およびATP/ADP比によって活性調節を受ける.これらのRubiscoアクチベースの活性調節によりRubiscoの活性化率,ひいては光合成CO2固定速度が制御されている.また,高温ストレスにより植物のCO2固定速度が阻害されるが,これは高温によってRubiscoではなくRubiscoアクチベースが失活するためであると考えられている.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:45:20